浅川兄弟 図録 李朝 粉青 鉄絵 刷毛目 鉄絵 白磁 青花 青磁 染付 堅手

#朝鮮#陶磁#陶器
#鶏龍山窯#広州官窯#高麗青磁

2011年の図録本全206ページ

状態：中古・概ね良好

■本書序文■
浅川伯教と巧の兄弟は、山梨県で生まれ、朝鮮半島へ植民地期(1910~1945)に渡って活動した工芸研究家です。
兄・伯教は小学校の教員として、弟・巧は朝鮮総督府の山林課の職員として勤務するかたわら工芸の研究を進め、
伯教は朝鮮陶磁研究の第一人者となり、巧も陶磁器および朝鮮の木工品について先駆的な名著を残しました。
特に、それまで注目されることがなかった“李朝”一朝鮮時代(1392~1910)の陶磁器に光をあてた意義は大きく、
彼らの活動によって1920年代以降、朝鮮陶磁は多くの人々の注目を浴びることになります。

“李朝”に向けられた浅川兄弟のまなざしは、二人の間のみに止まることなく、大きな影響を他に与えることになりました。
その代表的な存在が、雑誌『白樺』同人である柳宗悦(1889~1961)です。
彼らと早くから交流を持った柳は、二人を通じて朝鮮に対する理解と関心を深め、
その姿勢が民藝運動のはじまりとなっています。

浅川兄弟は朝鮮時代の陶磁器に新しい美を発見し、柳をはじめとする同時代の研究者や陶芸家、
そして数寄者たちとの交流のなかで、彼らのよき協力者、よき導き手として朝鮮時代の美を紹介し続けたのでした。

残念なことに巧は、『朝鮮の膳』や『朝鮮陶磁名考』などを著しながらも若くして世を去り、伯教も時代の変転のなかで、
調査・研究の成果を充分にまとめることなく現しました。
しかし今日、彼らの活動の先駆性は高く評価され、その人生は追慕されています。

「朝鮮陶器の神様」と呼ばれた伯教と、「韓国の山と民芸を愛し、韓国人の心のなかに生きた日本人、
ここに韓国の土となる」と韓国にある墓碑に刻まれた巧の、心と眼への理解を一層深めることのできる機会となることを願います。